2014年6月27日 (金)

議会でのヤジ発言とサッカーの試合の共通点

 6月18日に起きた、東京都議会でのヤジ発言に関する動きでは、ヤジ発言の内容や、発言した議員の特定、責任追及が主な論点となっています。
 しかし、私は、そのヤジ発言を放置した「議長」や「周囲の議員」にも責任があると思います。

 折しも、サッカーワールドカップ・ブラジル大会が開かれています。
 ヤジ発言をサッカーの試合にたとえるなら、今回の事態は、選手の意図的なファウル行為を、審判が止めなかった(笛を吹かなかった)のと同じだと考えます。
 そして、世間が、審判ではなく、選手の責任だけを追及しているという構図です。

 もちろん、サッカーの場合は、選手だけでなく、ファウル行為を止めなかった審判も、批判や抗議の対象になります。
 ところが、今回のヤジ発言に関しては、議長の責任を問題にしているメディアやSNSでのコメントが見当たりません。これでは、根本的な再発防止に繋がらない可能性が高く、たいへん残念なことだと思います。

 ところで、議会とは異なりますが、私は、地元で、「対話の会」という、誰もが参加できる語り合いの場を主催しています。「対話の会」では、参加者が交代で進行役を務めます。進行役の役割は、参加者が会の発言ルールを守っているかどうかをチェックすることです。進行役が真剣に役割を果たすと、必ず楽しい会になります。一方、進行役がさぼると、極めて危険な会になることがあります。もちろん、参加者全員が、自主的にルールを守るのが理想ですが、なかなかそうはいかない現実があります。そのために、進行役がいます。

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2013年6月28日 (金)

中国での「対話」による紛争仲介活動を紹介するテレビ番組を見て

先日(2013年6月16日)、NHKスペシャル(NHK総合)で、「中国激動 怒れる民をどう収めるか〜密着 紛争仲介請負人」を見ました。
住民による、地方の役人の対応への不満が高まる中、住民と役人との間に入り、「対話」によって仲裁をする民間仲裁組織の代表、周さんの活動の様子が紹介されていました。
この番組を見て、私は、数年前に〈対話法〉が中国語に翻訳されてWebサイトに掲載されたことを思い出しました。
GLI(Global Links Initiative)というNPO団体のWebサイトです。日本では、CSネット(日中市民社会ネットワーク)という形で活動しています。
中国語のサイトは更新されていないようですが、こちらのページで読むことができます。
http://www.globallinksinitiative.com/news/?p=448
今後、中国でも〈対話法〉がお役に立てる機会がくることを、心から願っています。

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2012年2月29日 (水)

2月26日に宮城県気仙沼市を訪問しました

2月26日に、被災地支援をする団体(ふんばろう東日本支援プロジェクト)のメンバーと一緒に、宮城県気仙沼市を訪問しました。私が東北の被災地に入るのは、これで4回目です。
午前中は、市内の反松公園仮設住宅(100世帯ほど)の集会所をお借りして、社協職員、自治会役員、復興協会やサポートセンター等のスタッフさんを対象に〈対話法〉講座を開きました。
〈対話法〉の理論がシンプルで、すぐにでも使える効果的なコミュニケーションスキルだということが、皆さんに伝わったようです。参加者は15名ほどでした。
 
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午後は、ある仮設住宅に在住の、一人の青年の個人カウンセリングをしました。一般的な心理カウンセリングによるサポートを越える内容のサポートが必要だということを、改めて実感しました。
その後、市街地から少し離れた山間部に設置された仮設住宅(50世帯ほど)を訪れて、新築間もない集会所内で、お茶をいただきながら、自治会役員、地元の民生委員、たまたま支援に入っていた首都圏からのボランティア関係の皆さんと懇談をしました。
テレビ・新聞や出版物からは、十分に伝わってこない、現地の人たちの体験や思いや要望を、たくさん聞かせていただきました。その仮設住宅は、高齢者が多く住まわれているため、認知症の心配もあることから、コムケア仲間の高林さんが活動している「 スリーA認知症ゲーム」の紹介もしてきました。

今回、私たちの催しをコーディネートし、かつ、一日中、車で市内を回ってくれたのは、自らも被災した立場でありながら、個人で支援活動をしている一人の男性でした。
その人との会話や、今回の訪問全体を通して感じたことは、支援者の人たちへのメンタル面のサポートが、まだまだ少ないため、医療や心理面での専門家によるサポートに加えて、もっと多方面からの多くの支援が必要だということです。
今後、すぐにでも、私(たち)にできることは、地元の支援者の皆さんを対象に、コミュニケーションのコツを学び合いながら、心のリフレッシュを目的とした「対話の会」を開くことです。それは、支援団体や支援者同士の横の繋がりのきかっけにもなるでしょう。そして、その参加者の中から、だんだんと、「対話の会」をファシリテートする人が生まれてくることを願っています。今回同行した、もう一人の人は、気仙沼市内で、コミュニティ・カフェ(お茶会)を定期的に開くことを考えています。これらの活動によって、多方面からの支援の選択肢が広がることを願っています。

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2011年10月12日 (水)

第2回「東日本大震災・対話の会」が開催されました

09230005_2 9/23に、アカデミー文京(東京)で、第2回「東日本大震災・対話の会」(主催:対話法研究所、後援:東日本大震災・心の交流会)が開催されました。参加者20名でした。

〈対話法〉の基本的スキル「確認型応答」を練習しながら、震災に関する、各自の体験と思いを語り合いました。
東北地方から東京に避難されている方も含め、様々な立場の人たちの、情報交換と心のリ フレッシュの場になりました。

今後は、都内に加えて、全国各地で開いていきたいと考えています。

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2011年4月 5日 (火)

地震の日のこと、そして、今できること

 その日、私は、勤務している高校のカウンセラー室で、来談者を待っていました。はじめは、いつもの地震かと思い、椅子に座って静まるのを待とうとしたのですが、揺れが激しくなる一方なので、これは近いと思って廊下に出ました。しかし、いつまでたっても収まりそうにありません。そのうち、周囲で、物が落ちたり、何かが壊れるような音が聞こえ始めました。屋外に逃げるのも危険と思い、廊下の壁を背にして、静まるのを待ちました。生徒と職員は、全員、校庭に避難して無事でしたが、校舎の一部が使用できなくなってしまいました。群馬では、桐生が一番震度が大きかった(6弱)ようです。自宅は、いくつかの物が落ちて壊れた程度で、家屋は幸い無傷でした。

 翌日から、東京・福岡・広島と、連日の出張予定でしたが、急遽、すべて延期しました。当日は、地震のことよりも、その連絡に、いちばん気を遣いました。出張が延期になったので、翌々日、桐生駅構内の市民活動推進センターで開かれた「対話の会」(主宰:浅野)に参加できました。桐生駅は、だいぶ被害を受けましたが、センターは無事でした。両毛線を使って前橋から参加した人もいました。当然のことながら、話題は地震のことでしたが、親しい人との語らいは、しばしのストレス発散になりました。翌日から、計画停電などのため、両毛線が不通になりました。私は、足利短大でもカウンセラーをしていますが、ガソリン節約のため、自宅から15キロの道のりを、2週続けて自転車で出勤しました。

 私の立場では、いますぐには、被災された方への直接支援はできません。そこで、人的・物的な被害はない、あるいは少ないものの、少なからずメンタル面で影響を受けている全国の人たち(自分も含む)で支え合いたいと考え、Twitterを使って、オンライン「対話の会」を開いています。地震のあと、ひとの優しさの平均値が、少なからず上がったような気がします。この優しさを、ずっと保ち続けたいものです。

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2010年8月31日 (火)

医療過誤でも謝罪が大切

ケアネット」から配信された情報によると、医師が間違いを犯した場合には、そのミス(過誤)を認めて謝罪し、補償を申し出ることが、医療過誤訴訟の防止にたいへん有用であるということが、新たな研究によって示されたとのことです。

■参考:当ブログに、このような記事もあります。
事故への対応/謝罪の是非

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2008年10月20日 (月)

ほめる行為の効果に影響する上司と部下との関係

対話法研究所が行った研究結果を支持するような記事を見たので紹介します。

JR西日本は、福知山線脱線事故を受けて、平成18年、社内に「安全研究所」を設立しました。本日10/20、そこで行われた、人的要因が安全に与える影響についての研究成果が発表されたそうです。

研究の一つとして実施された、「効果的なほめ方・しかり方」についてのアンケート調査によると、部下が行った工夫を上司が評価した場合、業務に対する責任感が向上しますが、上司との関係が悪ければ、逆に低下するという結果が出たようです。

つまり、「上司と部下の関係が良好な状態を保ったうえでほめることが重要」だということが分かったということです。

浅野が提唱している〈対話法〉の理論によると、「ほめること」は「反応型応答」に分類されます。
そして、最近の研究によると、反応型応答は、その好感度が、相手との信頼関係など、様々な条件に左右されること、一方、「確認型応答」は、信頼関係の有無にあまり影響されずに、好感度が比較的高く保たれる傾向にあることが分かりました。

JR西日本の研究では、ほめるという行為と業務に対する責任感との関係について調査したわけですが、「ほめられる」ことに対する好感度が、業務に対する責任感に影響すると仮定するなら、浅野による研究と、ほぼ同じ結果が出たと言えるでしょう。

浅野による、この研究結果は、8月に九州で開かれた国際学会で発表されました。また、詳しいことは、間もなく刊行されるジャーナルに掲載される予定です。

■参考記事(産経新聞)「仲が悪ければほめても逆効果 JR西が上司と部下の関係を研究」はこちらです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081020-00000538-san-soci

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2008年7月11日 (金)

「自殺予防の相談ダイヤル」の実現に向けてできること

今朝のNHKニュースによると、昨年まとめられた、国の「自殺総合対策大綱」の施策の1つとして、9月から始めることになっている「自殺予防の相談ダイヤル」への参加を予定している自治体は、現時点で、全都道府県と政令指定都市のの9割たらずだそうである。

この「自殺予防の相談ダイヤル」は、全国共通の番号にかかってきた電話が、最寄の自治体の相談窓口につながる仕組みである。

自治体が参加を見合わせている主な理由として、「予算や相談員の確保ができない」があげられているようである。

確かに、自殺のおそれがある人からの深刻な相談を電話で受けるシステムや人材や、一朝一夕にできることではないだろう。ただ、だからと言って、実施を先延ばしにしていては、せっかく成立した「自殺対策基本法」や「自殺総合対策大綱」が絵に描いた餅になってしまう。

自殺対策には、さまざまな方策が考えられるが、相談窓口の充実ということに限っても、そこには、予算や相談員の養成という課題がある。

相談員には、心理学や精神保健、社会福祉などの知識に加えて、心理カウンセリングの基本とされる受容・共感・傾聴などを含む相談スキルが必須である。
ところが、従来の相談員養成研修の多くは、知識の部分はまだしも、いわゆる「聴く」スキルの習得に多くの時間がかかることが課題であった。(この課題に気づいていない人も多いのが現状であるが……)

しかし、〈対話法〉で使われている「確認型応答」や「反応型応答」という概念とスキルでは、従来の受容・共感・傾聴などがより具体的な形で示されているため理解しやすい。そして、従来と比べて研修時間が節約できるのである。

私は、一昨年から、地域の「いのちの電話」相談員養成講座の講師を担当している。はじめは、「カウンセリングの理論と実際」の部分での1コマだけのピンチヒッターだったが、「確認型応答」や「反応型応答」を導入した実習を取り入れたため、受講者に分かりやすいと好評だったようで、昨年は「カウンセリングの基礎演習」も加わり、担当が3コマに増え、今年は4コマを担当した。
もちろん、一応、カウンセリングの基礎も伝えておく必要があるため、従来の、受容・共感・傾聴という概念も説明はしているが、演習の部分は、「確認型応答」と「反応型応答」のみで行っている。

「いのちの電話」の相談員養成講座での演習を3年間担当して、「確認型応答」と「反応型応答」という概念とスキルの有効性をますます実感しているこの頃である。

受講生が理解しやすいということは、養成にかける時間を、より少なくできるということである。時間を少なくできるということは、それだけ、他の重要な知識やスキルの習得に時間を割くことができることを意味する。あるいは、養成にかける時間全体を短くして費用を節減できることにもつながる。また、重要なスキルを習得しやすいということで、相談者をより多く養成できる可能性が増すであろう。

「いのちの電話」でも、このようであるから、「自殺予防の相談ダイヤル」における相談員養成でも、近い将来、「確認型応答」や「反応型応答」という概念とスキルが導入されれば、予算の削減や相談員の増員に貢献できるのではないかと確信している。

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2007年3月29日 (木)

脱線事故の車掌証言にみるコミュニケーションの課題

 2005年4月に起きたJR福知山線の脱線事故(兵庫県尼崎市)で、事故車両に乗務していた車掌が応じた新聞の取材内容が公表された。

参考・引用記事:3月29日3時2分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070329-00000017-mai-soci

 コミュニケーションを研究している私が特に注目したのは、「事故直前に駅でオーバーランした距離の過少申告について、運転士と口裏合わせをした際、乗客への対応で車内電話を途中で切ったことについて『運転士は、(自分が)怒ったと思い、不安だったかもしれない』と語った」という部分である。

 車掌が運転士と電話で会話をしている途中で、男性客からおわび放送を求められたため、運転士との電話を切ったというのである。そのことについて、車掌は、「高見運転士は(口裏合わせの求めに自分が)怒ったと思ったのかもしれない。(切る前に)『まけるよ』とは言っておらず、不安だったかもしれない」と語っている。

 ここでは、「口裏合わせの是非」や、「列車停止装置の設置などの問題」は置いておくが、車掌が語った言葉の中には、コミュニケーションにおけるさまざまな課題が示されていると考えるので、その中のいくつかを次に示す。

○緊急時のコミュニケーションありかたの問題。
○不完全なコミュニケーションに起因する「思い込み」「誤解」などの問題。
○不完全なコミュニケーションへの対処法についての知識とスキルの習得の問題。

 コミュニケーションという観点から考えると、これらの問題が一つのきっかけとなって、大きな事故が起こってしまったと言えよう。

 そして、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会による事実調査報告書では、運転士が車掌から指令への報告内容に気を取られていたため、ブレーキ操作が遅れた可能性があることを示唆している。

 人間の対応能力を超える事態の渦中においては、この事故における運転士や車掌でなくても、誰でも同じような状況に置かれたら、同じような対応をしてしまう可能性が高いであろう。したがって、これらの事故への対応を、個人の責任や人災というレベルで終わりにしてしまうのではなく、どのようにすれば今後に活かせるのかを考え、実行していくことが求められている。
 そして、これらの課題に対して少しでも実効性のある具体的な改善を推し進めたいとの思いで、私は〈対話法〉の普及を提唱しているのである。

 話を戻そう。
 2年近くたっても事故の遺族らに謝罪していない点について、車掌は、「謝りたい気持ちでいっぱいだったが、事故を防げなかったことをうまく説明できるかわからず、そのうち外で人に会うことさえ怖くなってしまった」と述べている。

 この車掌に限らないことであろうが、一般論として、大きな事故の前後の状況や、その時、どのようなことを考え、どのような判断をしたのかということを客観的に語ることは難しい。
 大きな死亡事故の場合は、それに加えて、遺族や負傷者から責められても仕方のない責任のある立場にある者としては、それらの人たちと向かい合って、きちんと謝罪できるだけの精神力をもつことは常人では難しいことであろう。

 このような場においては、感情的な発言のやりとりになってしまうことが多い。そして、それによって、双方が傷ついてしまう可能性が高いのである。これが二次被害である。
 特別なコーディネーターがいない状況で、普段の会話で行なっているように、お互いが自分の言いたいことだけを言い合うだけでは、より傷を深くしてしまう可能性が高いのである。

 このような場において、少しでも冷静に、意義のある話し合いをするためには、原則として、双方が相手の言い分をよくきいて(傾聴)、自分の理解した内容が合っているかどうかを相手に確かめて(確認型応答)、それが合っていたことが確認されてはじめて、自分が言いたいことを言う(反応型応答)というプロセスを踏むことが重要なのである。

 この方法に近いことは、これまでにも、専門家による、さまざまな相談、調停、紛争解決の場面で実践されてきたことではあるが、一般の人が使える「簡略化したスキル」として明文化したのは、〈対話法〉が初めてのことである。

 ところで、日本航空やJR西日本が、一連のトラブルや事故の対策の一つとして、社内での「確認会話」を導入したという報道後、これと関連する「確認型応答」を提唱する対話法研究所のホームページへのアクセス数が増えている。

 これまでも、私たちは無意識あるいは意識的に「確認」をしていたのであるが、今後は、「より意識的に」確認をするスキルと習慣を身に付けることが、コミュニケーションの不全に起因するトラブルや事故を防ぐ第一歩であると考える。

 もちろん、コミュニケーションの改善だけであらゆるトラブルや事故を防ぐことは不可能である。また、人間にはミスやエラーがつきものであるから、完全なコミュニケーションというものもあり得ない。その点は、フェイルセーフ機能などのハードウエアの改善や、組織改革や社員研修の充実など、さまざまな改善が必要である。
 しかし、忘れてならないことは、これらの改善をする全てのプロセスにおいて、関係者相互の「コミュニケーションの質」が結果を左右するということである。

 対話法研究所としては、コミュニケーションの改善によって防止できるトラブルや事故を一つでも少なくするために、コミュニケーションにおいて重要な役割を果たす「確認型応答」の有効性をアピールし続けていきたい。

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2006年12月22日 (金)

JR西日本も「確認会話」を導入

2005年4月に起きた尼崎での脱線事故を機に、JR西日本は「安全諮問委員会」を設置しました。
そして、今年(2006年)の11月、委員からの提言を受けて、「確認会話」という手法を社内に導入することが発表されました。
「確認会話」というのは、明確な指示や返答を、より意識的に行うことを目的としています。
「確認型応答」を提唱する対話法研究所としても、この「確認会話」の実践と効果に期待しています。
なお、「確認会話」は、すでに日本航空でも導入されています。


【参考記事】

日経ネット関西版から
連絡ミス防止へ「確認会話」導入

「日本航空」のサイトから
日本航空グループにおけるヒューマンエラー防止にかかわる改善策について

当ブログ内にも、関連記事があります。カテゴリー「事故」で表示されます。
 

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