「対話の会」の進め方の一例---確認型応答の練習法
「対話の会」は、自由な語り合いの場ですが、可能な限り安全な雰囲気を維持するために、必要に応じて〈対話法〉の原則(特に確認型応答)を守ることをルールの一つにしています。
そのため、「対話の会」では、必要なときに意識的な「確認型応答」ができるよう、自由な語り合いと並行して、メンバー同士で確認型応答を練習します。
ファシリテーターが、全体の進行をします。
※見学について:「対話の会」では、見学も歓迎しています。見学したい人は、その旨を、ファシリテーターとメンバーに伝えてください。なお、見学 者は、原則として、自己紹介はもちろんのこと、発言も確認型応答もしないでください。また、メンバーは、見学者に対して、挨拶以外の声かけはしないでくだ さい。これらは、見学者の心の安全を守るために、たいへん重要なことです。
■確認型応答を集中して練習する方法
1.全員の顔が見えるように座ります。必要に応じて、簡単な自己紹介をします。
2.メンバーの中の一人が発言者(話し手)になって、自分が、いま言いたいことを話します。この際、一度に、複数の異なる話題を話すと、確認型応答が難しくなるので、できるだけ一つの話題ごとに、一旦、話をストップしてください(一つの話題につき、1分程度が標準です)。
3.話の内容に対して、他のメンバーが、一人ずつ、確認型応答をしてください。その際、確認型応答の内容が、発言者(話し手)が言いたいこととピッタリ合っていなくても、全く問題ありません。
4.確認型応答の内容が合っている場合は、発言者(話し手)は、「はい、その通りです」とか「だいたい合っています」あるいは「違っています」とだけ言ってください。原則として、この時点では、違っているところについて、追加の説明はしないでください。
※もし、反応型応答をしてしまっても、全く問題ありません。私たちは、これまで反応型応答が習慣になっているため、確認型応答を始めから意識的にできる人は少ないからです。そこで、ファシリテーターは、それが反応型応答であることを、優しく(ここが重要です)指摘してください。そして、できれば、確認型応答で言い直してみることを勧めてください。どうしても確認型応答が思いつかない場合は、次の人にパスしても結構です。
※確認型応答がうまくできた時は、皆で拍手をして、確認型応答ができたことを一緒に喜んでください。また、ファシリテーターは、状況に応じて、確認型応答の手本を示してください。
5.数人から確認型応答をしてもらったあと、発言者(話し手)は、それらの確認型応答について、どこが合っていたか、あるいは違っていたかについて説明してください。これは、覚えている範囲で結構です。そして、説明の内容について、メンバーと意見交換をしてください。
6.説明と質疑応答が終わったら、発言者(話し手)は、話の続きを話します。そして、2〜6を繰り返します。もし、話の続きがなければ、発言者(話し手)を交替して、2〜6を繰り返してください。
7.このような流れで、数人で発言者(話し手)を交替しながら、メンバーが確認型応答を練習したあと、ファシリテーターの進行によって、全員で、感想を話し合って、確認型応答の練習を終わります。
■確認型応答の練習の意義
◯コミュニケーションで重要な確認型応答の練習ができます。
◯発言者(話し手)としては、他のメンバーから確認型応答をしてもらうことで、確認型応答の心地よさを実感できます。
◯確認型応答をする側は、発言者(話し手)に喜んでもらえることで、確認型応答によって、ひとの役に立てることを実感できます。
◯これらにより、メンバー間の信頼関係が深まり、同時に、日頃のストレス解消や心のリフレッシュに繋がります。
■参考:「対話の会」のルール
◯会の中で知った個人情報やプライバシーは会の外にもらさないこと。
◯必要に応じて〈対話法〉の原則を守ること。
◯その場では解決しそうにない悩みや困りごと、難しい話題には深入りしないこと。
◯自分の考えを相手に押し付けるような言い方を慎み、一つの提案という形で示すこと。
◯ポジティブ(前向き・積極的・肯定的)な言い方をするように心がけること。
◯いま、ここで起こっている気持ちや出来事を優先して話題にすること。
◯一人で切れ目なく5分以上話さないこと。
〈対話法〉の原則は、「自分の考えや気持ちを言う(反応型応答)前に、相手が言いたいことの要点を、相手に言葉で確かめる(確認型応答)」ことです。
日常の対話の中で、この原則を必要に応じて実践すると、誤解を防ぎながら、お互いの本音が言い易い雰囲気が維持されます。
※〈対話法〉の原則と確認型応答・反応型応答という用語は浅野のオリジナルです。詳細は、対話法研究所 あるいは 日本対話法研究会 のホームページでご覧ください。
このルールを使った「対話の会」は、どなたでも開くことができます。なお、その際は、対話法研究所の浅野まで、ぜひご連絡ください。ルールの正しい理解や、会の告知等に協力いたします。
人と人との支え合いを促進する「対話の会」が、全国各地で開かれることを願っております。
この記事の内容について、ご質問がありましたら、遠慮なく、対話法研究所の浅野までお問い合わせください。
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