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2006年10月31日 (火)

「直江津捕虜収容所」跡地を訪ねて

 新潟県上越市には、〈対話法〉の普及に尽力している仲間が大勢いる。

 昨年11月、新潟市で開かれた「日本コミュニケーション学会・東北支部」の研究大会に、〈対話法〉ワークショップのファシリテータとして招かれた。その翌日、「上越〈対話法〉研究会」の仲間の案内で、直江津捕虜収容所跡地にある「平和記念公園」に立ち寄った。

 太平洋戦争の開戦から1年後の昭和17年12月に、直江津捕虜収容所(東京俘虜収容所第4分所)が設置され、オーストラリア兵をはじめとする連合軍の捕虜が収容され、最大で700人余りの捕虜が近隣の工場での労働を強いられていたということである。
 その後、戦局の悪化によって、捕虜に支給するための食料や医療品が不足するなか、昭和18年に異常寒波が襲来し、厳しい冬を越すことができなかった60人以上の捕虜が、栄養失調や病気によって死亡するという悲惨な出来事が起こってしまったのである。

 昭和20年8月15日に日本は敗戦をむかえたが、その後、日本に進駐してきた連合軍が戦争犯罪を追及するなかで、元直江津捕虜収容所の看守や軍属などの職員も容疑者として逮捕された。そして、60人以上の捕虜を死亡させたという罪で、看守のうち8名が処刑されたのである。

 この、さらに不幸な結末に至った要因の一つとして特に私の印象に残ったのが、当時の捕虜による証言である。
 たとえば、看守が捕虜の脚気の治療としてお灸をしたことが「体に火を押し付けられた」と証言され、戦時中の食糧難の中で、捕虜のためにと必死になって調達し食事に出したゴボウが、「木の根っこを食べさせられた」とされ、戦犯の証拠とされてしまったのである。

 日本と西洋の文化や風習の違いに起因するこれらの「誤解」が、直江津捕虜収容所の戦争犯罪容疑の証拠として採用されたという歴史的事実は、「誤解を防ぐコミュニケーション」を提唱する私の心に強く残った。

 現在、直江津捕虜収容所の跡地は公園となっており、敷地内には当時の資料を展示する資料館がある。また、平和のモニュメントと石碑が建立されている。
 さらに、平和を願う「上越日豪協会」などが中心となり、市民レベルでオーストラリアとの交流が続けられている。

■参考になるページ
「ささやかな国際交流のぺえじ」

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2006年10月13日 (金)

〈対話法〉における「三方よし」の理念

 〈対話法〉の理論と技法は、心理学(特にカウンセリング心理学)やコミュニケーション学を基盤としているが、その普及方法となると、モデルとなるものがなかなか見つからなくて苦慮していた。そのためか、〈対話法〉に一度でも触れる機会があった人からは、〈対話法〉の価値を認めてもらい、少しずつ輪が広がっていくのであるが、その評判や効果の割には、広がり具合が遅々としていることを不思議に思っていたのである。

 一方で、コミュニケーション不全に端を発すると思えるような事件・事故が多発している現在、それらの対策と予防の手段の一つとして〈対話法〉を役立ててもらいたいとの思いは高まるばかりである。

 先日、コミュニティケア活動支援センター事務局長の佐藤修さん(コンセプト・デザイナー/(株)コンセプトワークショップ代表)と話す機会があった。佐藤さんは、〈対話法〉と、その普及活動を応援している貴重な人物の一人である。

 これまで、どちらかというと、〈対話法〉の普及活動は、基本的に無償で行なってきた。もちろん、対話法研究所所長の浅野が、会社・学校・公的機関などに講師として呼ばれるときは、それ相応の講師料をいただくことはある。しかし、所長以外の協力者の皆さん(日本対話法研究会会員)の活動の多くは、交通費もいただかない無償での働きがほとんどだったのである(練習会の会場費程度はいただいている)。

 これが、たいへん有り難く尊い行為だという思いは、いまでも変わらない。しかし、改めて考えてみると、〈対話法〉の普及活動の目的は、「無償で行なう」ことではなく、「普及させる」ことなのである。

 このような話を佐藤さんとしているうちに、普及活動が無償で行なわれているところに、いま一つ広がっていかない原因の一つがあるのではないか、との意見をいただいた。わたしも、おぼろげながら考えていたことではあるが、佐藤さんのように、〈対話法〉に理解のある第三者の方から改めて言われたのを機に、この問題に真剣に取り組もうと考える昨今である。

 なんらかの社会的活動や市民活動をするとき、それが新しい活動であればあるほど、有償で行なうのか無償で行なうのかという難しい選択に直面する。これについて論ずるのは、それだけでも大変なことであるが、〈対話法〉の普及活動も、この問題の渦中にあったと言えよう。

 話の中で、佐藤さんが、ふと、「三方よし」という言葉を漏らした。これは、近江商人の経営の心得・理念として知られる、「売り手よし、買い手よし、世間よし」のことである。〈対話法〉の普及活動は、商人が物品を販売するのとは趣が異なるものの、「三方よし」という理念には、おおいに学ぶところがあると思う。

 〈対話法〉の場合、「売り手よし」とは、講師(世話人と呼ぶことが多い)の物心両面での満足(利益)のことであり、「買い手よし」とは、受講生(参加者)の「心の」満足(利益)のことになる。そして、「世間よし」は、公共の利益(社会貢献)という意味合いである。〈対話法〉では、この理念をモデルとして普及活動を進めていきたいと考えている。

 そして、その第一歩として、東京〈対話法〉研修会を企画した。この形が、有償での普及活動のモデルの一つになれば幸いである。もちろん、時と場合に応じて、従来のような無償での活動も続けていきたい。

 思えば、「自分の考えや気持ちを言う前に、相手が言いたいことの要点を、相手に言葉で確かめる」という〈対話法〉の原則自体が、この「三方よし」の理念にかなっている。どちらかが一方的に話したり聞いたりするのではなく、お互いの「発言する権利」を尊重し合うこと、そして、その際に、自分の発言よりも、相手の話をきちんと聞くことを、まずは優先するのである。そして、この原則には明記されていないが、この原則に則った対話による良好な対人関係が、社会における健全な経済活動や福祉の発展に貢献するのである。これは、コミュニケーションにおける「三方よし」の理念の実現の姿の一つなのではないだろうか。

【参考】「三方よし研究所」というのが滋賀県彦根市にある。

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2006年10月 3日 (火)

東京〈対話法〉研修会の開催

このたび、対話法研究所は、東京事務所を開くことになりました。
所長の浅野は群馬県に住んでいるため、常駐は出来ませんが、
主に研修会場 として使う予定でいます。

それを記念して、下記の要領で研修会を計画しました。
東京都内では久しぶりの開催になります。申し込みをお待ちしております。

---東京事務所開設記念---

  対話法研究所主催

第3回 東京〈対話法〉研修会

日時:2006年10月29日(日)

  ◇午前セッション 午前10時30分〜午後1時(開場10時)
  ◇午後セッション 午後2時〜4時30分
   (どちらか片方でも参加できます。2セッションの参加も可能です)

会場:対話法研究所東京事務所 東京都文京区本郷3-37-8 本郷春木町ビル9階

   地下鉄「都営大江戸線本郷三丁目駅」から徒歩約5分
      「丸ノ内線本郷三丁目駅」から徒歩約10分

世話人(講師):浅野良雄(対話法研究所所長)

参加資格:「確認型応答」を中心としたコミュニケーション技法を日常の仕事や生活に役立てたいと思っている方ならどなたでも参加できます。

内容:「確認型応答」を使った安心・安全な雰囲気のなかで人間関係の機微を体験しながらコミュニケーション技法を学び合います。いわゆる参加型(講師の話を聞くだけでなく参加者同士が交流する)の研修会です。カウンセリングで使われる傾聴技法の実習にも役立ちます。

◇午前セッションの中心テーマ:〈対話法〉ってなんだろう---〈対話法〉の全体像
◇午後セッションの中心テーマ:相手が言いたいことはなんだろう

参加費:1セッション 3,000円/人(当日会場でお支払いください)
割引料金(初参加者、高校生以下、各地の対話法の会世話人):1セッション 2,500円/人

定員:12人(前日まで受け付けますが、各セッションとも定員になり次第締め切ります)

問合せと申し込み:E-メール institute8@taiwa.org

主催:対話法研究所 ホームページ http://www.taiwa.org/in.html
後援:日本対話法研究会

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