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2006年6月19日 (月)

誤解を防止する確認型応答

だいぶ前の出来事ですが、ある人から、下記のようなメールを受け取りました。

■ ……○○さんに連絡をすることはメールで断ったのですが……

          (前後の文章は省略します)

この文章を読んで、私はどう理解したら良いかわからず、首をひねってしまいました。前後の文脈からも判定不可能なのです。書いた人は、この文章の問題点に気づいていないのでしょうが……。

まずなによりも、この文章は肝心なことが全部抜けているのです。つまり、誰が断ったのか、誰に断ったのか、全く書いてありません。想像さえもできません。

さらにやっかいなのは、「断る」という語句の解釈が二通りあることに書き手が気付いていないことです。

「断る」には、代表的なものとして 許しを得る・拒否する の二つの意味があります。全く正反対の意味です。これを言葉の多義性といいますが、「断る」の場合、同じ言葉でこんなに意味が違うのは珍しいことです。

私は心理カウンセラーをしているので、カウンセリングの面接ではもちろん、日常生活でも、言葉の多義性には常に気を配っています。

ここで、カウンセリングでの失敗談を一つお話ししましょう。

カウンセリングは、相手(クライエント)の話を聞くことがメインになるので、一所懸命に聞くのですが、あるとき、クライエントから、「先生、もっと聞いてください」と言われました。私はとっさに、自分の聞き方が悪いのだと思い、ますます真剣に聞いたのですが、それにも関らず、「もっと聞いてくださいよ……」と言うのです。

おかしいなと思って、よくよく話しあってみたら、クライエントが言う「聞いてください」は、「分からないことがあったら聞いてください(質問してください)」という意味だったのです。にも関らず、私は、「質問」とは全く逆のことをしていたわけです。

このような誤解は、日常にはたくさんあります。笑い話で終わる内容や程度ならいいのですが、誤解から対人トラブル、さらには大きな失敗や事故に発展(?)してしまうこともありますので、気をつけなくてはなりません。

コミュニケーションって難しいですね。特にメールは、書き上がった文章を推敲しない場合が多いので、誤解の宝庫(?)になりがちです。

そこで、メールに限ったことではないのですが、相手との対話(メール交換も対話の一種です)の中で、「なにかおかしいな(変だな)」と思ったら、気付いた時点で相手に、「それは〜という意味ですか」あるいは「私は〜というふうに理解しましたが、これで合っていますか」という「確認型応答」をすることが、トラブルを防ぐ一番確かな方法です。

方法は、いたって単純ですが、意識的に実行している人は意外と少ないものです(無意識にやっている人はたくさんいます)。
また、私の経験と研究によると、この「確認型応答」を使えば、コミュニケーションが原因となる、多くの対人トラブルを防止・解消することができます。

言葉の解釈の違いによる誤解を少しでも防いで、より快適な対話や話し合い(メール交換を含む)をしましょう、というのが、私が〈対話法〉を提唱している一番の理由です。

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コメント

塩手さん、感想をありがとうございます。

>以前よりコミュニケーションが進歩したと思う

これだけでも、まずは十分なのではないかと思うのですが……。

でも、塩手さんは、「確認型応答」を中心とした、ご自分のコミュニケーションスキルを、もっともっと向上させたいんですね。←これが、「確認型応答」です(塩手さんの気持ちに合っているかどうかは別として)。

「確認型応答」が日常に組み込めているかどうかということについては、日常のなかで、どれだけ「確認型応答」が必要な場面があるかということにも関係してきます。必要がないのに「確認型応答」をすることはありませんから。

そういえば、このブログでは、「確認型応答」がどのようなときに必要になるかという点については、まだ書いていなかったかもしれません。対話法研究所のホームページには書いてあるのですが。

次回のブログは、この点について少し書いてみます。

投稿: 浅野 | 2006年6月20日 (火) 11時20分

言葉の多義性ですか・・・(^^;
確かにコミュニケーションミスで起こりえることですね!
また一つ勉強になりました。
「確認応答型」なかなか日常に組み込めている気がしません・・ 以前よりコミュニケーションが進歩したと思うのですが、意識以上に気をつけるポイントはあるでしょうか・・?

投稿: 塩手勝久 | 2006年6月20日 (火) 00時21分

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