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2006年6月 5日 (月)

カウンセリング・傾聴・〈対話法〉の違い

このところ、〈対話法〉とカウンセリング(特に来談者中心療法)、さらにはカウンセリングの「積極的傾聴」との違いについて質問されることがたびたびあります。
そこで、若干難しい話になるかもしれませんが、このことについて私が考えていることを書いてみます。

違いをひとことで言うならば、〈対話法〉とカウンセリングは目的が違います。

〈対話法〉の目的は、誤解の少ない快適なコミュニケーションの実現ですが、カウンセリングの目的は、主として悩みやトラブルの解消(ゼロにするのは難しいですが)です。

つぎに言えることは、〈対話法〉はカウンセリングの一部である「積極的傾聴」含んでいるということです。
ただし、一部とは言っても、コミュニケーションを担うたいへん重要な部分です。

では、〈対話法〉と「積極的傾聴」はどこが違うのかということになりますが、この違いを文章だけで説明するのはたいへん難しいことです。
しかし、「難しい」だけでは答えにならないので、要点だけでも言葉にしてみます。

■〈対話法〉は、カウンセリングにおける「積極的傾聴」の本質を残しながらも、カウンセリングという特定な視点ではなく、コミュニケーションという、より一般的な視点を重視して簡略化したものである。

と言えるでしょう。(ますます分かりにくくなったかもしれませんが……)

〈対話法〉とカウンセリングは違うものです。しかし、カウンセリングの重要な部分である「聞き方の技法」としての「積極的傾聴」と、かなり似ています。
一見しただけでは、ほとんど見分けがつかないだけに、違いを認識してもらうにはなかなか苦労するところです。

でも、「積極的傾聴」でなく、わざわざ〈対話法〉としたことには、私なりの大きな理由があります。

その一番は、「肝心なところを誰にでも学びやすくした」ことです。

その一例が、「自分の考えや気持ちを言う前に、相手が言いたいことの要点を、相手に言葉で確かめる」という、具体的な原則の設定です。

「学びやすい」ということは、実践が容易になるということです。

〈対話法〉と「積極的傾聴」の違いは、見た目にはわずかな差でしかありません。しかし、この初期の「わずかな差」が、結果的には意外と大きな違いになります。
たとえてみれば、Y字型の分かれ道で、はじめは少ししか離れていないのに、進めば進むほどその間の距離が離れていくようなものでしょうか。
カウンセリングと〈対話法〉の間には、はじめから、もっと大きい違いがあります。

しかし、念のために言っておきますが、この「違い」は、どちらが良くて、どちらが悪いという意味での違いではありません。
カウンセリングにはカウンセリングの目的、〈対話法〉には〈対話法〉の目的があるのですから、違っていて当然です。ただし、勉強する段階でも、できれば、目的によって、カウンセリングと〈対話法〉を使い分けた方がいいと、私は考えています。

お断り:この記事の中では、カウンセリングと積極的傾聴を、厳密に区別しないで論じています。

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コメント

浅野さん、こんばんは。
浅野さんのブログを読み始めて、自分はコミュニケーションをあまり深く考えていなかったと改めて感じています(^^;
押しつけがましい性格のせいか、どちらかというと苦手の分野です・・
こういうことを学びなさいと、見えない力で導かれている気がします。ともかく苦手で避けやすいということを自覚して、日々意識してみることからはじめます。

投稿: 塩手勝久 | 2006年6月 6日 (火) 01時41分

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