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2006年6月 7日 (水)

私たちは無意識に傾聴していた

このブログの中で、傾聴あるいは「確認型応答」の大切さについて書いているが、私は、多くの人が日常の活動の中で全く傾聴ができないとか、一度も傾聴をしたことがないとは思っていない。
ただ、自分がしている、あるいはしていた行為が傾聴というものだというふうに認識していないだけだと思う。これは、ほとんどの人が、傾聴を知識やスキルとして教えてもらったことがないのだから仕方がないことである。

ところで、人付き合いが上手、対人関係がスムーズにできる、人から好感がもたれる、さらには、顧客から信頼され営業成績が高い、と認められている人たちは、どこかで傾聴を習ったか、あるいは、数々の実体験の中から自然と体得していったのであろう。もちろん、これらの能力は、傾聴スキルだけによるものではないけれど。

企業の管理職や医療・保健の専門職を主な対象として研修を行なっている産業医科大学の三島徳雄助教授らは、研修会の参加者はすでに傾聴を実践している(少なくとも部分的には)のだが、実際にどのような聞き方が傾聴であるかを意識していないために、傾聴が思うようにできないだけである、と考えている。

私も、この見解に賛成である。
これらの人たちが、これまで業務をうまくこなしてこられた(時には失敗もあったろが)からには、全く傾聴をしていなかったということは考えられない。単に、それらの行為に、「傾聴というラベル」が貼られていなかったため、自分が傾聴をしていることを意識していなかっただけだと思う。
同じ行為でも、意識して行なうのと、無意識あるいは、たまたま運良く(?)行なうのとでは、結果に大きな違いが出てくる。意識していないと、せっかくの効果的な行為も、必要な時に再現できないからである。

ここで、もう一度、先の三島助教授らの文章から引用する。(括弧内は浅野による補足)
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(管理監督者は)管理監督者という仕事柄、指示、命令、アドバイスなどで部下や周囲の人間を援助するのが普通だと考えている。すなわち、「傾聴することが他者を援助することになる」ということが知られていない。そのために、援助の手段として傾聴することを選択していないだけである。
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こう考えてみると、傾聴を意識的に実践することへのハードルは、私たちが思っているほど実際は高くないのかもしれない。

【参考文献】
三島徳雄・久保田進也・永田碩史 2004 管理監督者の資源を活かした職場のリスナー研修 心身医学,第44巻第12号

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コメント

猫飯さん
こころ和むコメント、ありがとうございました。
おっしゃるように、福祉や医療の現場では、傾聴という言葉は、耳にタコができるほど聞かされていますね。
また、非言語コミュニケーションも、言語コミュニケーションに劣らず重要ですよね。つまり、両方とも重要だということですね。相手の年齢や、時と場所によって、重要性の比率は異なってくるでしょうが……。そのあたりの使い分けは、現場の支援者さんの経験がものをいいますね。それと、猫飯さんのように、基本的に、自分が得意な関わり方から入っていった方がいいのでしょうね。
今後のご活躍を期待しております。

投稿: 浅野 | 2006年6月 8日 (木) 11時19分

はじめまして~・・足跡から飛んでまいりやした。

介護の現場にあるもの・・コミュニケーションの役割は大であります。

傾聴の重要性は、耳にタコが出来るほど聞かされております。

でも・・言葉だけが先走りしていて・・それを実践できるほどの論理や、考え方は・・あたしはいまいちです・・苦笑


お年寄や、障害を抱えている方達とのコミュニケーションを
とるなかで・・感じた事は・・非言語的コミュニケーション
・・言葉あってるかなぁ・・苦笑

言葉以外のコミュニケーションです

あいづちを打つ、笑顔や困った表情・・
相手の言葉の内容というよりも・・相手が今どんな
気持ちなのか(落ち込んでいるのか、うれしいのか・・)その気持ちの動きに合わせての自分の見せる反応というものが
かなり重要になってくるのでありやす。

 相手の言葉を聞き、その言葉の内容や気持ちを察して
相手の気持ちを引き出す会話というのはとても難しいものですよね・・ もちろん・・成功すれば~メリットは大きいですよね


でも・・非言語的コミュニケーションは・・具体的な言葉を
あまり必要としないわりに・・とても、威力を発揮してくれます。 相手に、自分はあなたの気持ちを聞きたいですよ・・って
いう事の信号になるのかもしれません

もちろん・・言葉同様、間違ったタイミングで行えば
 誤解や不愉快な気分にさせるものでありますが・・苦笑


あたしは、人とのコミュニケーションが苦手で
人の気持ちを聞き出してあげる事がとても苦痛でした。

でも、非言語的コミュニケーションは、そんなあたしに
 人との関わりは、あんがい難しくないんだと・・
教えてくれたような気がしました。

 これからは~・・少しレベルを上げて
言葉、会話によるコミュニケーションにもチャレンジして
いけたらなぁ~と思っておりやす・・

 また、浅野さんの意見を聞かせてもらいに来ます

投稿: 猫飯 | 2006年6月 8日 (木) 10時17分

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