事故とコミュニケーション
さまざまな事故(最も広い意味では人間に関るトラブル)について、コミュニケーションという視点で考えてみる。
認知心理学の観点からさまざまな事故の原因や対策を研究している海保博之氏(元筑波大学教授)は、交通機関などにおける事故の発生には、因果連鎖をたどって
いくと、どこかで必ず人が関わってくると指摘している。さらに、事故の原因の一つとして、思い込みによるエラーなど、関係者間の伝達ミスがあると言って
いる。
そして、それを防ぐためには、他人との共同思考ができること、つまり、メンバーが自分の思いを、自由に、しかも頻繁にコミュニケーションできる環境が必要であると提言している。(『人はなぜ誤るのか』福村出版より)
上記の観点の重要性は、私たちが日常の体験を通して実感していることと思う。
〈対話法〉の関係では、最近、医療事故や医療過誤によるトラブルの予防を重視した医療関係の団体からの問い合わせや実習指導の依頼が目立つようになってきた。
医療という分野でも、従来から指摘されていたシステムの改善や知識・技術の向上という視点に加えて、対人言語コミュニケーションの重要性に関心が向くようになってきたからだと察している。
私は、「人間関係、特にコミュニケーションは難しい」という、私たちの「思い込み」(?)が、かえってコミュニケーションに関る改善を遅らせているのではないかと考えている。
そこで、「人間が関ることは複雑ではあるけれど、思っているほど難しくはない」と発想を転換することによって、さまざまな問題に対する前向きの対策が活性化するのではないかと思い、〈対話法〉の普及活動を続けているのである。
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